2021年3月29日

【文科省委託事業】くらしのちぐはぐ研究室

くらしのちぐはぐ研究室

「あれ?」「なんで?」「どうなってるの?」
暮らしのなかにはフシギなことがいっぱいあります。

暮らしのなかで感じる「ちぐはぐ」なことを見つめなおし、自分の状況や周囲の人との関係性をとらえなおしてみるプログラムです。自己覚知を進めることが、生活や仕事などでかかわる他者との関係性を豊かにするのではないかと考えて実施しました。

〈実施日〉
10月25日  みんなで「くらしのちぐはぐ」を出し合う
11月22日 みんなで「くらしのちぐはぐ」を出し合う
12月12日 演劇にして撮影する
12月13日 演劇にして撮影する
2月21日 〔番外編〕障害者計画のちぐはぐを出し合う

〈参加者数〉66名(5回計)

〈講師〉柏木陽(演劇家、NPO法人演劇百貨店)

これまで、「生活」「仕事」「恋愛と結婚」「食生活」などをテーマとして、プログラムを行ってきましたが、今回はカテゴライズせずに、生きることにかかわるすべてを「暮らし」としてくくり、それぞれに感じる「ちぐはぐ」を出し合うことからはじめました。

参加者から出た「ちぐはぐ」は・・・
◎お母さんに自分の考えを受け入れてもらえない
◎スーパーのレジで並んでいたら横入りされた
◎障害理解研修で話していた講師の言うことがヘンだった
◎地域の差で使えるサービスが違っていたりする
◎エレベーターで車いすの人を先に行かせたら後ろの人に「チっ!」って言われた
などなど、内容は多岐にわたりますが、当事者の抱える疑問や困りごとを出し合い、演劇を取り入れて参加者みんなで表現しました。

言葉で説明するだけでなく、演劇という手法を用いて「実際にやってみる」ことによって、当事者以外の人がその状況をよりリアルに把握できるようになりました。本人も「相手にちゃんと伝えられた!」という感覚が強くもてるようです。今回は、当事者ではなく他の参加者が演じることにしましたが、「自分の思いを仲間が共感してくれた!」と実感ができるだけでなく、当事者が客観的に状況を俯瞰できることによって、自分周囲の状況や関係性が整理され、当時見えなかった部分が可視化されたのではないかと思います。また、本来なら当事者にとって笑えないような状況である『ちぐはぐ』であり、共有するには重たいテーマであることも多いのですが、演劇化することで「あるある!」と気軽に話し合いのテーマにできることもメリットだと考えます。

演劇にして表現している場面を撮影し、映像コンテンツもにつくりました。今後、これらの映像は障害理解研修や各種学習会での教材としての活用を目指したいと考えていますが、2021年度に上智大学と実施するプログラム「超大学」にて試行する計画にしています。なお、この動画制作においても当事者が字幕や効果音編集を担うなど、伝えるための工夫や技術を学ぶ機会を得ることができました。

〈映像コンテンツ〉くらしのちぐはぐ研究室(動画)